2021年8月9日月曜日

オリンピック終焉、そして「杜子春」を読む。

 オリンピック閉会式も終焉を迎えた頃、私はどことなく落ち着かない何か寂しさのようなものを感じていました。なんだか、これまで一喜一憂しつつ浸っていた一つの壮大な物語に「はい、おしまい」と言われているような、或いは楽しかった夏祭りの帰り道「あぁ、また来年かぁ」とちょっぴり憂鬱な気分になるように。


でもこの状況下でよく開催できたと思います(いい意味で)。

おそらく日本以外では無理だったのではないでしょうか?

一晩明けて今思うのは、大変な苦労と緊張を強いられていたであろう運営の方々への感謝。

本当にお疲れさまでした。

そして参加した選手の皆さん。

無観客という状況でも、金メダル27個!は世界3位、そして総メダル数58個は史上最多だということ、おめでとうございます。

つまり、裏方も演者も素晴らしかった!そしてその努力の結果を、世界にアピールできたということです。


思えば開会直後に始まった柔道で、私は一気に引き込まれました。

もう誰が出ても負ける気がしない、そんな雰囲気が日本中に漂っていました。

暗い暗いコロナの渦中において、なんだか一筋の強くて真っすぐな光明が日本を照らしているような気がしました。

病は気から、そして景気も気からです。

この気の力を保って頑張っていきましょう。


閉会式を観終えたあと、私はそそくさとマイクに向かい合いました。

「杜子春」芥川龍之介

を録音する為です。

これまで何度か録ろうと思ったことはあったのですが、読んでいるとどうしても涙で声がかすれてしまって。

でも今なら出来る、そう思ったのです。……ちなみに根拠はありません。

ところが、やっぱり涙で読めませんでした。

録り終わるのに随分時間がかかってしまいました。


あらすじとしては、

仙人に大富豪にしてもらった杜子春は、その浪費癖のせいですぐにもとの一文無しになってしまいます。

「再び金塊を授けてやろうか?」

三度目の仙人の申し出を杜子春は断り、かわりに仙人の弟子になりたいと申し出ます。

自分の財力によって態度をコロコロ変える人間の浅ましさが嫌になったのです。

仙人は快く引き受けますが、杜子春に一つの試練を課しました。

「何があっても絶対にしゃべってはならない」

仙人が去った後、杜子春には様々な困難が待ち受けていました。


本作は中国の古典を元に、芥川龍之介が童話風短編に書き直したもので、儒教でいう所の「忠孝」の概念がつよく表れているように思えます。

涙無くしては読めない名作です。

未読の方は青空文庫で読めますので一読をお奨めします。

それではっ!


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