昨日は折角の休日だというのに私の体調は最悪でした。
何故だか体が重く朝からずっと眠い、とにかく眠い。そのまま夕方になっても眠いので、このまま明日の朝まで眠れてしまうのではないだろうか?などと思いました。
「なぜこんなに眠いのだ?まだ筋トレの疲れが残っているのだろうか?」
とも考えましたが、世間ではいつの間にか、何の相談も無く台風が接近していたようで、もしかするとその急激な気候の変化に体がついていけていなかったのかもしれません。
打って変わって本日は晩夏の快晴。
清々しい天気に昨日の不調もどこ吹く風、私の体調はすっかり回復していました。
まるで自然を忌避しているかのように遠ざけていく現代の都市生活の中にあっても、やはり我々の身心は自然と共にあるようです。
人生に、生活に、社会に疲れた時、人は自然の中に回帰しようとしますが、これは至って自然な行為なのだと思います。
都市生活は心にとって実に複雑で高負荷ですが、五感(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)にとっては実に単調で低刺激です。空の見えない密室の中に在っては、五感は麻痺しているも同然なのです。
それに比べると自然は心にとっては穏やかですが、五感にとっては実に複雑で刺激的です。
美しい景色、小川のせせらぎや鳥のさえずり、大地を踏みしめる感触、木々や海の匂い、おいしい水や果物、いずれも我々の感覚を生き生きと蘇らせてくれます。
とまあ、こんな事を書いていると、またどっか散策に行きたくなりました。
早くこの異常事態が収束しないものかと切に願う日々です。
さて、前置きが長くなりましたが。
ぺネルぺ・ルイス著「眠っている時、脳では凄い事が起きている」の一応最終回です。(原題「The Secret World of Sleep」)
人は年をとると睡眠時間が短くなるということは、おおよそにおいて体感、或いは周囲の状況から察することが出来ると思います。
年齢によるその時間差が、太古の昔には集団の保全に役立っていたことは以前の記事【「人≒チンパンジー」 いや 「人>チンパンジー」 だ!】に書きました。
しかし、やはり睡眠時間が短くなるということは老化そのものであり、またそれを促進することにも直結します。
何故なら、ただ時間が短くなるだけではなく、(以前の記事【「The Secret World of Sleep」寝たのに疲れる理由とは?】で説明した)徐波睡眠がハッキリ減少するという弊害を伴っているからです。
徐波睡眠は疲労を取り除き、記憶を整理するという重要な役割を担うパートなので、これが減少すると当然疲れは抜けず、記憶の固定がされづらくなって記憶力が低下します。
なので昨今の長寿社会において、老年期の睡眠はそれまでに増して重要になってきます。
ではその重要な徐波睡眠をどう確保すればよいのか?
本著で紹介されている手法の一つに、午睡をとるというものがあります。
もちろん前述した私のように朝から夕方までうとうとしていては、本来夜にとるべき睡眠が犠牲になってしまうので、あくまでうたた寝程度にとどめる必要があります。
本著では、午後の睡眠は一般的に徐波睡眠であると紹介されています。
つまり睡眠の第3段階です。
これを越えて第4段階にまで入るとレム睡眠に移行してしまうので注意が必要です。
あくまで午睡は「うたた寝」が最適です。
仕事中でも昼食を採って暫くすると眠くなってうとうとすることがありますが、(許されれば)思い切ってうたた寝をすると、午前の(頭や体の)疲れが取れ、リフレッシュされるので業務効率の向上に効果的なのですが、今のところ日本の企業風土においてはそのような志向にはなっていないようです。
(ちなみにアメリカの某大手IT企業などは、自由にうたた寝がとれる環境を完備している所もあるのだとか)
いずれ、日本の先進的な企業もこれに追随していくのではないでしょうか?
このように軽く昼寝をして夜はしっかり眠ることで、老化の弊害を最小限に食い止める事ができるようです。
また、睡眠には全くの静寂、無音の環境よりも、むしろ自然のものに近い音環境が効果的だという研究結果もあります。
英国のいくつかの病院では、鳥のさえずり、波の音、ときにはいびきの音まで含んだサウンドスケープが導入されているようですし、インターネットで人気のバイノーラル・ビート(両耳性うなり)の異なる周波数を両耳で聴かせる音楽も人気です。
最後に貴重な夜の睡眠前の食事について一つ。
一般的に就寝の3~5時間目に食べるものは、睡眠の質を左右すると言われています。
・眠気を誘う食品としては以下のものが挙げられます。
ヨーグルト、ホットミルク、チーズ、豆乳、はちみつ、マグロ、バナナ、ジャガイモ、アーモンド、豆腐など。
つまり主に良質のたんぱく質。
・逆に睡眠の質を低下させてしまうものとしては、
コーヒー、チョコレート、アルコール、チラミンが含まれる食品、
コショウ、燻製の肉や魚など。
つまり主に刺激物!
不眠っぽいなと思ったら、これらに気を付けて夕食のメニューを組んでみてもいいかもしれません。
さて、如何だったでしょうか?
近年は睡眠についての研究や、それに伴う著作物も多く出版されています。
それだけ睡眠という行為が我々人間にとって重要で、これまで想像もしていなかった効果を我々の身心に及ぼしていた事が次々に解明されていることの証拠なのだと思います。
睡眠についての研究は、恐らくこれからまだまだ発展していくでしょう。
来年には、もしかすると今日の常識は非常識になっているかもしれません。
でも確実なのは一つ、
「我々人類は、こと身心において原始人の頃とさほど変わっていない」
という事実です。
これさえ押さえておけば、様々な学説も何となくその是非が推察できるのではないでしょうか?
まだまだ私の睡眠学習?の旅は続きます。
それでは!