2021年9月13日月曜日

「The Secret World of Sleep」寝たのに疲れる理由とは?

とある休日の夕刻、私は以前の記事「憂鬱、不眠、倦怠……全て走る事で改善する!」の教えに従って走り始めました。

そう、忘れてなどいません!

長い脚、土踏まず、熱暴走を防ぐ汗、薄い体毛、これらは全てただ長く走り続けるためだけのものです。

すなわち、(パスカル風に言うと)人間とは考える葦ではなく「走る葦」なのです。


「それにしてはしんどい、疲れる、辛い。

 いや、まだ若干だが涼しくなってきただけましだ。

 とにかく走れ、体中の血を循環させろ!」


そうして約45分後、

無事ゴールした私は、火照った肌を冷ます心地よい夕風に身をゆだねながら、

「あぁ、これで今日もぐっすりだな」

と、達成感と満足感の海に浸っていたのでした。


しかし、現代人の睡眠はそう簡単に片づけられるものではありません。

よく眠れた=良い睡眠

とは限らないのです。


皆さんはこんな経験はないでしょうか?

特に何か悩みが有ったり、鬱っぽかったりしたとき、


・寝ているはずなのに起きた瞬間から疲れている、体が重い。

・いくら寝ても疲れが取れない。


私はたまにあるのですが、これも現在読書中の

ぺネルぺ・ルイス著「眠っている時、脳では凄い事が起きている」

(原題「The Secret World of Sleep」)

で原因が理解できました。


睡眠中の脳波は以下の4つの段階で推移します。


①浅い眠り 

睡眠紡錘波が出現する

徐波睡眠 (深い眠り)

④レム睡眠 (眼球運動)


ここで重要なのが③徐波睡眠です。

徐波睡眠中の脳ではニューロン間(シナプス)の結合を緩め、不要な記憶と重要な記憶の精査(すなわち脳の整理整頓)をしているのですが、同時にアセチルコリン(活動を促すホルモン)の量がほぼ0に落ちます。

つまり③徐波睡眠は身心のメンテナンスを行う重要なフェーズなのです。


以前の記事「The Secret World of Sleep」夢はその人の知性を表す?例えば漱石。

にも書きましたが、鬱っぽくなるとセロトニンバランスが崩れ、④レム睡眠の比率が高まる傾向があります。

なので、いくら寝ても③徐波睡眠を確保しにくくなり、その結果疲れが取れない(メンテナンスされない)まま翌朝を迎えるのです。


ちなみに「睡眠紡錘波」にも少し触れておきましょう。

これは「電気生理学の指紋」とも呼ばれ、人によって大きく異なります。

12~16Hzの波で、おもに睡眠の第二段階に出現します。(徐波睡眠中でも見られるが、レム睡眠では現れない)

近年の研究で、この波の密度からIQ(全検査と動作)の高さを予測できるそうです。

つまり紡錘波の密度が高い(波が多い)人はIQが高い傾向が見られるのです。

ちなみに学習障害を持つ人の波も密度が高いのですが、その場合振幅(振れ幅)が異常に大きく、これは過剰紡錘波と呼ばれています。


以上、睡眠中の脳波についての説明でした。

なんとなくですが「寝たはずなのに疲れが取れない」理由の一端が理解できますね。

要は寝ててもその大半はレム睡眠じゃ意味が無いと。

なのでレム睡眠の合計量を減らさないといけないのですが、その為にはセロトニン濃度を高めるしかありません。

抗うつ薬のSSRIなどがセロトニンの再取り込みを阻害し、結果脳内のセロトニン濃度を高める効果があるのはその為ですね。


という訳で「出来れば薬に頼らずセロトニン量を最適化しましょう!」

いや、どうやって?

とにかく運動を始めよう、疲れて(いると感じて)いてもまずは走ってみよう。


それでは!

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