「適度に散歩をして適度な日光を浴びる」
これまでの記事にも度々書いてきたように、これほどコストパフォーマンスに優れた健康法は無いと私は思っています。
日光に含まれる紫外線B波は、ビタミンD生成に欠かせないものですし、それが欠乏することにより様々な(睡眠含む)弊害が発生します。
また二足歩行こそ人の人たる所以といっても過言ではないほど、人の体(或いは脳も)は歩くことが前提のシステムで構築されているように思えます。
(いずれも過去の記事に詳しく書いてありますので、もし気になる方がおられれば検索してみてください)
私は散歩をしながら、歩くことについて考えを巡らせていました。
「なぜ人だけが二足歩行なのだ?
私は今ほぼ無意識に歩いているが、歩き方はこれで合っているのだろうか?
そもそも私は今まで生きてきた中で、人から歩き方などを習った覚えが無い」
我ながらなんと平和な散歩でしょうか……
約600万年前、人は猿と分かれて独自の進化系統に進んでいきました。
その後多種多様な人類が誕生しましたが、今や人類は我々ホモサピエンスだけになってしまいました。
なので人が人たる所以を説明するのに最も適当な動物が、DNA配列が人と極めて近いと言われるチンパンジーです。
そのチンパンジーと人がおなじ祖先から分かれて、まず最初に現れた差異が二足歩行だと言われています。
詳しい背景は省略しますが、様々な環境要因から人は移動の必要に迫られ、逆にチンパンジーはさほどその必要に迫られませんでした。
それではなぜ二足歩行なのか?
手で道具を使うためという説も有りますが、実は人が道具(石器)を使うようになったのはそれから何百万年も後の事です。
そう考えると、二足歩行の直接的動機としては弱く感じます。
むしろ順序が逆で、手を使うための二足歩行ではなく、二足で歩くようになった結果、わりと手が自由になったと考えるほうが自然に思えます。
ある本によると、数あるデメリットを承知で人が二足歩行を始めた理由は、とにかく長距離を移動する必要に迫られたからだということです。
しかし四足に比べると、二足歩行のデメリットは多岐に渡ります。
(チンパンジーと人との比較だと考えると分かり易いと思います)
1.速く走れない。
2.走行中に急な転回ができない。
3.木登りが下手になる。(足の親指が短く真っすぐになり、木をつかめない)
4.出産が大変。(骨盤の変形)
このうち1から3は捕食者に捕まる可能性が高くなります。
4は子孫を残せる可能性が低くなります。
つまり、いずれも生物の進化の方向から考えると有りえないものばかりなのです。
それでも人は二足歩行を選択しました。
つぎに人がチンパンジーと別れた頃の二足歩行のメリットを考えてみましょう。
1.省エネで長距離移動が可能。
結局、このたった1つのメリットがその他の致命的なデメリットを上回った結果、彼らは生き残り、そして今の我々に繋がっています。
ちなみに1.を説明する為には、人とチンパンジーの足のつくりを比べればよく分かります。
①人は足が長い。
②人の足は真っすぐ前を向いている。
③人は膝が大きい。
④人には土踏まずがある。
⑤人の踵は大きい。
⑥人の足の親指は真っすぐで短い。
他にもありますが、これらはいずれも二足歩行の為の進化です。
さて、ようやく本題に戻ってきました。
ここで私は⑥に着目することにしました。
まず人の「歩く」という行為を横から見てみましょう。
基本、片足を前後交互に動かして進みます。
その時の腰の位置を確認してみると、ある事実が浮かび上がります。
片方の足のつま先で地面を蹴ってもう片方と丁度重なった時に腰の位置は最も高くなり、そしてかかとで着地した瞬間、つまり両足が最も開いた時に腰の位置は最も低くなります。
この高さの差はそのまま位置エネルギーに置き換える事が出来ます。
つまり、二足歩行ではつま先で地面を蹴って得た位置エネルギーを前方への推進力として活用していると言えるのです。
確かにチンパンジーの”がに股”、”すり足”での二足歩行では、高低差を利用した位置エネルギーなどは活用できるはずもありません。
かれらの足の親指は、木の枝などを掴めるように長くて内側を向いている(人間の手と同じ)ので、二足歩行には適していないようです。
実験によると、二足は四足の3分の1ほどの消費カロリーで移動できるという事です。
つまり、同じ食糧でも移動距離は3倍ということです。
チンパンジーの一日の移動距離は約2kmということですから、二足歩行の人間は一日にその3倍の約6㎞ほど移動できたわけです。
余談ですが、人が走る時の位置エネルギーの推移は歩行時とは真逆になります。
つまり両足を開いた時に最も高くなり、交差する瞬間に最も低くなるのです。
なので必然的に使う筋肉や用いる技術が異なってきます。
競歩とマラソンが似て非なる理由がここにあります。
さて話を戻して、本来手の親指と同じ役割だった我々の足の親指は、二足歩行のためにそれ専門の形状へと進化しました。
逆に言うと、
二足歩行の為には足の親指が必須!
ここを意識せずに正しい二足歩行などあり得ない!
という事にもなるのです。
ところがスニーカーや革靴などで歩行するようになった我々は、ともするとチンパンジーのような「がに股」「すり足」になりがちです。
腰の上下動が無く、位置エネルギーも使えていないので、歩いてもすぐに疲れたりします。
そうすると更に歩くのが嫌になって、やがて土踏まずの筋肉も徐々に退化していきます。
そうです、言い方を変えるとチンパンジー化しているのです。
私はこの理屈から、歩くときに出来るだけ足の親指を意識するようにしました。
腰の上下動に連動し、視界の上下の揺れも少し大きくなったような気がしました。
するとどうでしょう、
歩幅が少し広くなりました。
胸が張り、背筋がピーンと伸びました。
ふくらはぎとお尻の筋肉に張りが出て来ました。
それほど長く歩いていないので、疲れやすさの有無はよく分かりませんでしたが、明らかに楽になりました。
測定していないので感覚だけですが、つま先の筋肉まで動かしているので、おそらく足の血流も良くなっているでしょう。
よく背筋を伸ばして、猫背にならずに歩きましょうなどと言われますが、そんなことをせずとも足の親指に少し注意を向けるだけで必然的に歩き方は正しく美しくなるのです。
たるんだ紐を真っすぐにするには、垂れ下がった中心を持ち上げるのではなく、端を引っ張れば良いのと同じ理屈です。
これらは靴を履いていると中々実感しにくくても、家で裸足の時に試してみると直ぐに分かると思います。(靴の弊害の一つですね)
本来ならば裸足で歩くのが最もいいのでしょうが、現代においては無理があります。
なので、最初は意識して、慣れればそれが当たり前になると思います。
ただ一つ注意しなければならないことがあります。
このように人間らしく歩けるようになると、周囲の「がに股」「すり足」で歩く人達が本当にチンパンジーに見えてきます。
もし接する場合、認識は直ちに元に戻すように!
という訳で私は決めました。
次にスニーカーを買う時は、出来るだけ底の薄いものにしよう、と。
それでは!
■ ランキングに参加しています。良ければポチッと。
0 件のコメント:
コメントを投稿